2026年4月13日
高齢化が進む日本において、「認知症」は非常に身近な問題となっています。外来でも「物忘れが増えた」「将来が不安」といった相談を受ける機会が増えています。一方で、認知症は“完全に防ぐことはできない”というイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。しかし近年の研究では、生活習慣の見直しによって発症リスクを下げることが可能であることがわかってきています。
今回は、認知症予防について医学的な視点から分かりやすく解説します。
認知症とは何か
認知症とは、一度正常に発達した認知機能(記憶、判断力、理解力など)が低下し、日常生活に支障をきたす状態を指します。代表的なものにはアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症などがあります。
最も多いアルツハイマー型認知症では、脳にアミロイドβという異常なたんぱく質が蓄積し、神経細胞が徐々に障害されていきます。この変化は、症状が出る10年以上前から始まっていると考えられています。
つまり、「症状が出てから対策する」のではなく、「症状が出る前から予防する」ことが非常に重要なのです。
認知症の危険因子とは
認知症の発症には、年齢や遺伝といった変えられない要因のほかに、生活習慣に関わる“修正可能な危険因子”が大きく関係しています。
主な危険因子として以下が挙げられます。
・高血圧
・糖尿病
・脂質異常症
・喫煙
・運動不足
・肥満
・社会的孤立
・難聴
・うつ状態
これらは動脈硬化を進めたり、脳への血流を低下させたりすることで、認知機能低下を引き起こすと考えられています。つまり、生活習慣病の管理そのものが認知症予防につながるのです。
今日からできる認知症予防
では、具体的にどのような生活を心がければよいのでしょうか。大きく分けて「運動」「食事」「知的活動」「社会参加」の4つが重要です。
1.運動習慣を身につける
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運動は認知症予防において最もエビデンスが豊富な方法の一つです。特に有酸素運動は、脳の血流を改善し、神経細胞の働きを活性化させることが知られています。
目安としては、
「やや息が弾む程度の運動を1回30分、週3〜5回」です。
ウォーキングや自転車、軽い体操でも十分効果があります。また、筋力トレーニングを組み合わせることで転倒予防にもつながります。
2.バランスのよい食事
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食事では「地中海食」が認知症予防に有効とされています。具体的には、
・野菜や果物を多く摂る
・魚(特に青魚)を積極的に摂る
・オリーブオイルやナッツを取り入れる
・赤身肉や加工食品を控える
といった内容です。
日本人にとっては、従来の和食も非常に理にかなっています。塩分を控えめにしつつ、魚・野菜中心の食生活を意識しましょう。
3.脳を使い続ける
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脳は使わないと衰えていきます。新しいことに挑戦することが特に重要です。
・読書や新聞
・囲碁や将棋
・楽器演奏
・語学学習
・パズルや計算
こうした活動は脳のネットワークを活性化し、「認知予備能」と呼ばれる脳の余力を高めます。
4.人とのつながりを大切にする
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社会的孤立は認知症の大きなリスク因子です。人との会話は、記憶・判断・感情など多くの脳機能を同時に使う高度な活動です。
・家族や友人と会話する
・地域活動に参加する
・趣味のサークルに入る
といったことを意識してみてください。
医療機関でできること
認知症予防においては、医療機関の役割も重要です。
・高血圧や糖尿病の管理
・早期の認知機能評価
・MRIなどによる脳のチェック
・睡眠障害やうつの治療
特に「軽度認知障害(MCI)」の段階で介入することで、進行を遅らせる可能性があります。
「最近物忘れが気になる」と感じたら、早めにご相談いただくことが大切です。
まとめ
認知症は加齢に伴う変化ではありますが、「何もできない病気」ではありません。生活習慣の改善によって、そのリスクを減らすことができます。
・適度な運動
・バランスのよい食事
・知的活動
・社会とのつながり
これらを日々の生活に取り入れることが、将来の自分の脳を守ることにつながります。
認知症予防は、特別なことをする必要はありません。大切なのは「継続すること」です。できることから少しずつ始めていきましょう。
当院では、認知症の早期診断や予防に関するご相談も受け付けております。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
