片頭痛とめまい ~頭痛だけではない片頭痛の症状と前庭性片頭痛・脳幹性前兆について~|立川・武蔵村山の頭痛診療・内科|ほしの脳神経・整形外科・在宅クリニック立川

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片頭痛とめまい ~頭痛だけではない片頭痛の症状と前庭性片頭痛・脳幹性前兆について~

片頭痛とめまい ~頭痛だけではない片頭痛の症状と前庭性片頭痛・脳幹性前兆について~|立川・武蔵村山の頭痛診療・内科|ほしの脳神経・整形外科・在宅クリニック立川

2026年11月07日

「頭痛がすると同時に、ぐるぐる回るようなめまいがする」「頭痛はないのに、ふらつきや浮遊感が繰り返し起こる」「めまいと吐き気が強く、日常生活に支障が出ている」――このような症状でお困りではありませんか?

片頭痛というと、ズキンズキンと脈打つような頭痛を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、片頭痛は単に頭が痛くなるだけの病気ではありません。吐き気、光や音への過敏、視覚の異常など、さまざまな症状を伴う神経疾患です。

その中でも、めまいは片頭痛と深い関係がある症状の一つです。実際に、片頭痛の患者さんにはめまいを繰り返す方が少なくありません。

今回は、片頭痛とめまいの関係をはじめ、近年注目されている「前庭性片頭痛」や、特徴的な神経症状を伴う「脳幹性前兆を伴う片頭痛(旧称:脳底動脈型片頭痛)」について解説します。

1.片頭痛でめまいが起こるのはなぜ?

片頭痛は、脳の神経や血管に関係する複雑な仕組みが関与して発症する神経疾患です。

現在では、三叉神経血管系の活性化や、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)などの神経伝達物質が重要な役割を果たしていることが分かっています。

一方、私たちが身体のバランスを保つためには、内耳にある前庭器官、脳幹、小脳、大脳などが連携して働く必要があります。

片頭痛のある方では、これらの平衡感覚に関係する神経回路の働きにも影響が及ぶと考えられています。そのため、頭痛と同時にめまいが起こったり、頭痛がないときにもめまいを繰り返したりすることがあります。

また、光や音、においなどの刺激に敏感になる片頭痛の特徴が、視覚や平衡感覚にも影響し、乗り物酔いに似た症状を引き起こすこともあります。

2.前庭性片頭痛とは?

片頭痛とめまいの関係で特に重要なのが「前庭性片頭痛」です。

前庭性片頭痛とは、片頭痛に関連して、繰り返すめまいや平衡感覚の異常が起こる病気です。以前は「片頭痛関連めまい」と呼ばれることもありました。

特徴的なのは、必ずしも頭痛とめまいが同時に起こるわけではないという点です。めまいだけが主な症状として現れることもあり、頭痛がないために片頭痛との関係に気づかれていないケースもあります。

主な症状には次のようなものがあります。

めまいの持続時間はさまざまで、数分程度で治まることもあれば、数時間から数日続くこともあります。

国際的な診断基準では、前庭性片頭痛は、5分から72時間程度続く中等度から重度の前庭症状を5回以上繰り返し、片頭痛の既往があることなどが重要な条件となります。また、めまいの発作の半数以上で、片頭痛に特徴的な頭痛、光過敏・音過敏、視覚性前兆のいずれかを伴うことが診断のポイントです。

3.脳幹性前兆を伴う片頭痛(旧称:脳底動脈型片頭痛)とは?

片頭痛には、一般的な頭痛やめまいだけではなく、特徴的な神経症状を伴うタイプがあります。その一つが「脳幹性前兆を伴う片頭痛」です。

以前は「脳底動脈型片頭痛」と呼ばれていましたが、現在の国際頭痛分類(ICHD-3)では「脳幹性前兆を伴う片頭痛」という名称が使われています。

このタイプでは、脳幹の機能に関連した一時的な神経症状が前兆として現れます。

脳幹は、呼吸や意識など生命維持に関係する機能のほか、眼球運動、聴覚、平衡感覚などにも関係する重要な部位です。

主な症状には次のようなものがあります。

これらの症状は一時的に出現し、その後に片頭痛の頭痛が起こることがあります。ただし、必ずしも頭痛を伴うとは限りません。

診断には、脳幹由来と考えられる可逆性の症状が2つ以上認められることが重要です。代表的な症状として、構音障害、回転性めまい、耳鳴り、難聴、複視、運動失調、意識レベルの低下などがあります。

なお、通常の片頭痛にみられる視覚性前兆だけでは、この病型には該当しません。また、脳幹性前兆を伴う片頭痛では、四肢の運動麻痺は診断基準上含まれません。運動麻痺を伴う場合には、片麻痺性片頭痛など別の病型を考える必要があります。

4.前庭性片頭痛と脳幹性前兆を伴う片頭痛の違い

どちらもめまいを伴う片頭痛ですが、医学的には異なる病型です。

前庭性片頭痛では、めまいそのものが中心的な症状となり、頭痛を伴わない発作も珍しくありません。

一方、脳幹性前兆を伴う片頭痛では、めまいに加えて複視、構音障害、耳鳴り、意識レベルの低下など、脳幹の機能に関係する複数の神経症状が一時的に現れることが特徴です。

両者が併存することもありますが、診断基準は異なるため、症状の経過を詳しく確認することが大切です。

5.めまいを起こすほかの病気との鑑別

めまいの原因は片頭痛だけではありません。耳や脳に関係するさまざまな病気が考えられます。

① 良性発作性頭位めまい症(BPPV)

寝返りを打つ、起き上がる、上を向くなど、頭の位置を変えたときに突然起こる回転性めまいが特徴です。多くの場合、数秒から1分程度で症状が軽快します。内耳にある耳石が原因となる病気です。

② メニエール病

回転性めまいを繰り返し、耳鳴り、難聴、耳が詰まった感じなどを伴います。めまいの発作は通常20分から12時間程度続きます。

③ 前庭神経炎

突然、強い回転性めまいが起こり、数日間続くことがあります。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。一般的には難聴を伴いません。

④ 脳梗塞などの脳血管障害

小脳や脳幹に脳梗塞が起こると、突然の強いめまいやふらつきが出現することがあります。手足の麻痺、しびれ、ろれつが回らない、物が二重に見える、歩けないなどの症状を伴う場合には注意が必要です。

特に、脳幹性前兆を伴う片頭痛と脳幹・小脳の脳梗塞は、症状が似ている場合があります。突然発症した強いめまいや、これまで経験したことのない神経症状が現れた場合には、片頭痛と自己判断せず、速やかに医療機関を受診することが重要です。

6.前庭性片頭痛・脳幹性前兆を伴う片頭痛の治療

治療は、基本的に片頭痛の治療に準じて行います。

治療には、発作が起こったときの症状を抑える「急性期治療」と、発作の頻度や程度を減らす「予防療法」があります。

① 急性期治療

頭痛を伴う場合には、トリプタン製剤やNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などを使用することがあります。

吐き気が強い場合には、制吐薬を併用することもあります。

ただし、トリプタン製剤などが前庭症状そのものにどの程度有効かについては、十分な科学的根拠が確立されていません。

また、脳幹性前兆を伴う片頭痛では、従来トリプタン製剤は禁忌とされてきました。薬剤の使用にあたっては、添付文書上の禁忌や注意事項を確認し、専門医による慎重な判断が必要です。

② 予防療法

めまいや頭痛の発作を繰り返す場合や、日常生活に支障がある場合には予防療法を検討します。

使用されることがある薬剤には、以下のようなものがあります。

さらに、近年は片頭痛に関係するCGRPを標的とした治療薬も登場し、片頭痛の予防治療の選択肢が広がっています。

ただし、前庭性片頭痛に対する各薬剤の有効性については、まだ十分な比較試験が蓄積されていないものもあります。患者さんの年齢、持病、症状、発作頻度などを考慮して治療方針を決めていきます。

7.日常生活で気をつけたいこと

片頭痛や前庭性片頭痛では、生活習慣を整えることも重要です。

また、めまいが起こっているときには、転倒を防ぐために無理に動かず、安全な場所で安静にすることも大切です。

8.まとめ ~頭痛がなくても片頭痛の可能性があります~

片頭痛は、単に頭が痛くなるだけの病気ではありません。めまいやふらつき、吐き気、光や音への過敏など、さまざまな症状を伴うことがあります。

特に前庭性片頭痛では、頭痛が目立たず、めまいを主な症状として繰り返すことがあります。また、脳幹性前兆を伴う片頭痛では、めまいに加えて複視や構音障害、耳鳴りなどの神経症状が一時的に現れることがあります。

これらの症状は脳梗塞などの脳血管障害と似ている場合があるため、正確な診断が重要です。

当院では、頭痛やめまいの症状について詳しくお話を伺い、神経学的診察や必要に応じたMRIなどの画像検査を行いながら、原因を調べていきます。

「頭痛と一緒にめまいが起こる」「繰り返すめまいに悩んでいる」「耳鼻科で異常がないと言われたが症状が続いている」といった場合には、一度ご相談ください。

頭痛とめまいの関係を正しく理解し、適切な診断と治療につなげていきましょう。

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