糖尿病と認知症|武蔵砂川駅|内科|ほしの脳神経・整形外科・在宅クリニック立川

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糖尿病と認知症

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2025年12月05日

こんにちは、ほしの脳神経・整形外科・在宅クリニック立川 院長の星野 達哉です。
昨今、低糖質ダイエットが注目を集めています。食事や飲料からの糖質をいかに減らすかが重要視されていますが、一方で糖質は「脳の主要なエネルギー源」とも言われます。この低糖質ダイエットは、脳や認知機能にどのような影響を与えるのでしょうか?
今回は、特に糖尿病認知症の関係について解説します。

糖尿病と認知症の関係
糖尿病の合併症としては、腎臓病(糖尿病性腎症)、網膜症(糖尿病性網膜症)、末梢神経障害などがよく知られています。
しかし近年、認知症との密接な関係も指摘されています。糖尿病を患っている方は、そうでない方に比べて約2倍の認知症リスクがあるとも言われています。では、なぜ糖尿病が認知症を引き起こすのでしょうか?主な原因となるメカニズムを3つご紹介します。

1. アミロイド $\beta$ タンパクの分解阻害
アルツハイマー病は、アミロイド $\beta$ タンパクという異常な物質が脳内に沈着し、神経細胞を障害することで進行すると考えられています。
このアミロイド $\beta$ タンパクは、血糖値を下げるために膵臓から分泌されるインスリンを分解する酵素(インスリン分解酵素)と、同じ酵素によって分解されるという特徴があります。
高血糖状態が続き、インスリンの分泌が過剰になると、酵素はインスリンの分解に忙殺されます。その結果、アミロイド $\beta$ タンパクの分解にまで手が回らなくなり、脳内に蓄積が進行し、神経細胞が障害されてしまうのです。

2. 血管に対する影響(脳血管性認知症のリスク)
高血糖状態が長期間続くと、血管の内壁にある細胞がダメージを受けます。これを修復する過程で動脈硬化が進行します。
動脈硬化により血管に狭窄(狭くなること)が起こり、脳血流が低下します。その結果、神経細胞が酸素不足(脳虚血)によるダメージを受け、脳の機能が低下します。これは、脳血管性認知症の典型的な発症機序です。

3. 高血糖・低血糖による直接的なダメージ
血管障害とは別に、長期間にわたる慢性的な高血糖や、治療による重度の低血糖は、脳神経細胞そのものに直接的なダメージを加えることがわかっています。
この状態が何十年も続くことにより、徐々に脳の機能が低下し、認知機能障害につながります。

最後に
以上の機序から、糖尿病は認知症と密接にかかわっていることがわかります。これらのメカニズムは、長い時間をかけてゆっくりと進行するため、日ごろからの血糖コントロールが極めて重要となります。

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