2026年1月23日
「年をとると眠りが浅くなる」「夜中に何度も目が覚める」といった睡眠の変化は、加齢だけでなく認知症とも関係しています。 睡眠は脳の疲れを取るだけでなく、認知機能を保つうえで大切な役割を担っていることが分かってきました。特にアルツハイマー型認知症では、脳にたまる「アミロイドβ」というたんぱく質と睡眠の質が密接に関係していることが報告されています。 睡眠が不安定な人では、このアミロイドβが脳に蓄積しやすくなり、認知症のリスクが高まると考えられています。睡眠中に行われる「脳のお掃除」脳の中では、日中の活動でアミロイドβなどの老廃物が少しずつたまっていきます。これらは、主に夜間の睡眠中に脳から血液中へ排出され、最終的に肝臓などで分解・処理されます。ところが、睡眠不足や途中で何度も起きてしまう状態が続くと、この「脳のお掃除」が十分に働かなくなります。
その結果、老廃物が脳内にたまりやすくなり、長い目で見るとアルツハイマー型認知症をはじめとする認知症のリスクを高める可能性が指摘されています。
認知症の方に多い睡眠の悩み認知症の方では、体内時計のリズムが乱れやすくなり、深部体温やホルモン分泌の昼夜のメリハリが弱くなることが知られています。 そのため、次のような睡眠のトラブルがよく見られます。夜なかなか眠れない、何度も目が覚める早朝に目が覚め、その後眠れない日中に強い眠気があり、うとうとしてしまう夜間に家の中を歩き回る、外に出ようとする(徘徊)これらの睡眠障害は、ご本人にとってもつらいものですが、ご家族の介護負担を大きくする原因にもなります。「夜まったく眠ってくれない」「こちらが限界」というご相談も少なくありません。
今日からできる睡眠ケアのポイント認知症のある方の睡眠を整えるには、薬だけに頼らず、生活リズムや環境を整えることがとても大切です。 ご自宅で取り入れやすい工夫をいくつかご紹介します。
日中に日光を浴びる。午前中の散歩やベランダでの日光浴は、体内時計を整えて夜の眠りを助けます。 外出が難しい場合でも、カーテンを開けて日差しを取り込むだけでも効果が期待できます。日中の活動量を少し増やす
軽い体操や家事のお手伝いなど、無理のない範囲で体を動かすと、夜に自然な眠気が出やすくなります。 ただし、夕方以降の激しい運動はかえって眠りにくくなることがあるため注意が必要です。規則正しい生活リズム
起床・食事・就寝の時間が毎日大きく変わらないようにすることで、体内時計が安定しやすくなります。 昼寝は30分以内、午後3時までを目安にすると、夜の寝つきが保ちやすくなります。眠りやすい環境を整える
静かで落ち着ける寝室、季節に合った寝具、適切な室温や湿度を心がけましょう。 真っ暗だと不安になる方には、足元だけの常夜灯など、少し明かりを残す工夫も有効です。寝る前のひとときを穏やかに
就寝前はテレビやスマートフォンの強い光を控え、穏やかな音楽や談話、軽いマッサージなどで「眠る前の合図」を作るとよいでしょう。 空腹が強いと眠りにくい方には、ホットミルクや少量の軽食が役立つこともあります。眠りで困ったときは早めに相談を夜眠れない、昼夜逆転が続いている、急に寝てばかりいるようになったなどの変化は、認知症の進行や別の病気、薬の影響が隠れていることもあります。 ベンゾジアゼピン系など一部の睡眠薬は、ふらつきや転倒、認知機能の低下と関連する報告もあり、自己判断での長期使用は注意が必要です。ご本人やご家族だけで抱え込まず、かかりつけ医や専門医、地域の相談窓口などに早めに相談してください。 生活習慣の工夫、薬の見直し、必要に応じて睡眠障害や認知症の専門的な評価を組み合わせることで、よりよい眠りを一緒に考えていくことができます。
