日本人の片頭痛の有病率は、ある調査によると15歳以上で8.4％にのぼるといわれています。特に、30代の女性では20％、40代の女性では18％と、高い割合の方が片頭痛に悩まされています。
片頭痛は、さまざまな要因によって発作が引き起こされることが知られています。患者さんご自身でその誘因に気づかれていることもありますが、無意識のうちに過ごされている方も少なくありません。今回は、片頭痛の発作を誘発する主な条件についてご紹介します。

片頭痛の主な誘因とその割合
何らかの誘因を持つ片頭痛の方は全体の75％を占めます。その中で、特に多い誘因は以下の通りです。

1位　ストレス　79％
2位　女性ホルモン　65％
3位　絶食（空腹）　57％
4位　天候（低気圧など）　53％

1. ストレス
ストレスを感じると「頭が痛い」という慣用句のような表現がありますが、これは片頭痛からきている可能性も考えられます。また、ストレスから解放された時（週末など）にも頭痛が起こることが知られています。休日に頭痛で一日を寝て過ごす、といった経験をされる方も多くいらっしゃいます。
2. 女性ホルモン
生理時の頭痛を生理痛の一部として捉えている方も多いですが、これも片頭痛であることが多く、片頭痛の治療が有効な場合があります。
3. 絶食（空腹）
空腹時や食事を抜いた際に頭痛が起きやすくなる方もいます。
4. 天候（低気圧）
低気圧の変化を頭痛で予知できるとおっしゃる患者さんも多く、天候も大きな誘因の一つです。
その他の誘因
上記のほかにも、以下のようなものが誘因となるケースが多く見られます。
五感への刺激: 光、香水やにおい、煙
生活習慣: アルコール、夜更かし、運動、性的活動
食品:
●血管を収縮させる成分（チラミン）を含む食品：チーズ、チョコレート、赤ワイン、納豆、ヨーグルトなど
●脳血流を増やす成分（亜硝酸ナトリウム）を含む加工肉食品：ハム、ソーセージ、サラミなど
これらの食品はすべての患者さんに影響を与えるわけではありませんが、気づかないうちに誘因となっていることがあります。

まずは「頭痛ダイアリー」で自己分析を
あなたの頭痛がどのタイプで、どんな誘因が潜んでいるのかを知るためには、頭痛ダイアリーをつけてみるのが有効です。頭痛が起こった日時、強さ、随伴症状、そしてその時の状況や食べたものなどを記録することで、ご自身の片頭痛パターンに気づくきっかけになるかもしれません。
日本頭痛学会では、頭痛ダイアリーを公開しています。ぜひご活用ください。
日本頭痛学会 頭痛ダイアリー
https://www.jhsnet.net/dr_medical_diary.html