2026年2月07日
ほしの脳神経・整形外科・在宅クリニック立川、院長の星野達哉です。本日は慢性硬膜下血腫についてお話ししようと思います。
「最近、急に物忘れがひどくなった」「足元がふらついて歩きにくそう」 ご家族やご自身に、このような変化はありませんか?「もう年だから認知症かな」と諦めてしまう前に、ぜひ知っておいていただきたい病気があります。それが「慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)」です。
この病気は、適切な治療を行えば劇的に改善する可能性が高いため、脳外科の世界では「治る認知症」とも呼ばれています。
慢性硬膜下血腫とはどんな病気?
脳は「硬膜」という強い膜に覆われています。頭をぶつけたことなどをきっかけに、この硬膜と脳の間にじわじわと血(血腫)が溜まっていく病気です。
特徴的なのは、「頭をぶつけてから1〜2ヶ月経ってから症状が出る」という点です。ぶつけた直後は何ともないため、多くの患者さんは頭を打ったこと自体を忘れてしまっています。
こんな症状に心当たりはありませんか?
症状はゆっくりと進行し、主に以下の3つが代表的です。
認知機能の低下:元気がなくなる、ぼーっとする、つじつまの合わないことを言う。
歩行障害:足が前に出にくい、ふらつく、何度も転びそうになる。
片麻痺(麻痺):片方の手足に力が入りにくい、お箸やペンを落とす。
その他、頭痛や吐き気を伴うこともあります。「急に認知症が進んだ」「急に足腰が弱った」と感じる場合は、この病気が隠れているサインかもしれません。
診断と治療について
診断は、頭部CT検査で簡単に行うことができます。検査時間は数分程度で、その場ですぐに血腫の有無を確認することが可能です。
治療が必要なほど血腫が溜まっている場合は、手術(穿孔洗浄術)を行います。頭蓋骨に小さな穴を開けて溜まった血液を洗い流すもので、高齢の方でも負担が少なく、手術の翌日から歩けるようになることも珍しくありません。劇的に症状が改善し、以前のような生活に戻れるのがこの病気の特徴です。
「おかしいな」と思ったら、早めのご相談を
慢性硬膜下血腫は、お酒をよく飲む方や、血液をサラサラにする薬を飲んでいる方に多く見られる傾向があります。しかし、特別な原因がなくても、軽い尻もち程度の衝撃で発症することもあります。
「年のせい」と決めつけてしまうのは、実はとてももったいないことかもしれません。ご家族から見て「以前と何かが違う」と感じたら、まずは一度、当院へご相談ください。CT検査で原因をはっきりさせることが、安心への第一歩です。
